2026/02/17 20:58
「ふすま紙で、何か作られへんかなぁ」
「じゃあ、金封作ってーや!」
幼なじみとの、なんてことのない日常会話。
そこから生まれたのが、「億萬金封」です。
“お札の偉人に落書き。ゼロを増やして金額増〜!”
遊び心あふれる発想を、あえて伝統素材でかたちにする。
ふすま紙を使うことにこだわり、表現はすべて切り絵のみ。
余計なものを足さず、紙だけで表現したいと思いました。

日本固有の扉「襖(ふすま)」。
この漢字は漢字検定1級レベルの難読字です。
それほどまでに、私たちの日常から遠ざかってしまった日本文化なのかもしれません。
今どきの小さな子どもの中には、「ふすま」を知らない子もいる。
建築業界の人でさえ「ふすま」を「障子」と呼ぶことがあります。
かつて日本を訪れた アルベルト・Dr.アインシュタイン が、
「なんて軽い扉なんだ!」と驚いたという逸話も、いまや遠い昔の話となりました。
木と紙で仕立てられた軽やかな扉 ―ふすま―。
その姿は、現代の暮らしの中で少しずつ消えつつあります。
ふすま紙、ふすま縁、そして引手。
ふすまの多様な素材や、それらを作り出す技もまた、需要の減少と職人の減少とともに、静かに失われつつあるのです。
だからこそ。
ふすま紙に、もう一度、光を当てたい。
伝統を守るのではなく、いまの感性で、遊びながら未来へつなぐ。
「億萬金封」は、そんな小さな会話から生まれた、ちょっとした挑戦です。
